UCリアクターを使用したノンフロン冷媒循環装置

 UCリアクターの冷却部を使用した冷媒循環装置についての、簡易テストを行いました。通常の冷媒循環装置では、循環ポンプの発熱が熱抵抗となります。UCリアクターの冷却能力に対してこの発熱がどの程度影響しているか検証してみました。図の装置概要は、UCリアクターの300mLフラスコ用にメタノールを入れ冷却槽とします。この冷却槽に、銅製の熱交換用コイルを入れます。このコイル内をさらにメタノール(900mL)を循環させます。
・アルミブロックの温度
・液槽内のメタノールの温度(液槽1)
・循環冷媒(メタノール)の温度IN
・循環冷媒(メタノール)の温度OUT
を測定しました。

 冷却温度が異なるのと、冷却速度が遅いのは、
「UCRの冷却ヘッド - アルミブロック - メタノール - 銅コイル - メタノール」
と間接的に冷却するためです。また、循環経路は断熱材でしっかり断熱していますが、吸熱も少しはあるようで、-40℃ほどで平衡状態になってしまいました。循環する冷媒量等にもよりますが、-40℃のノンフロン冷媒循環装置としての可能性が見えてきます。冷却ヘッドに熱交換器を直接取り付けるなどすれば、1時間ほどで-40℃に到達する製品として実用化できそうです。

ノンフロン極低温冷媒循環装置

 UCリアクターを使用する利点としては、ノンフロン冷凍機であることと、コンパクトサイズでシステムアップが容易な事があります。今回も、冷媒の循環経路にもう一台のUCリアクターを入れて、より低温(-80℃を目指して)での循環をテストしてみます。概要は以下の図の通りです。

結果は次のようになりました。

 液槽の温度である液温1、2、アルミブロックの温度はUCリアクター1台の時よりも、低温にまで下がっています。経路途中の吸熱やマグネットポンプからの発熱に対して優位に冷却できています。しかし、-40℃付近から、循環させているメタノールの液温が変動し始めています。これは、マグネットポンプに異常が出て、循環が上手くできていない状態です。一時OUTの液温が上昇している時は、おそらくポンプが止まっていると考えられます。
今回使用したマグネットポンプはフェライト磁石を使用したものです。磁石は高温で磁力が低下する事が知られていますが、フェライト磁石は低温でも磁力低下し、極低温では不可逆な減磁もします。-40℃以下で磁力が弱くなるとともに、メタノールの粘性も増すため、ポンプが正常に動かなくなってしまった事が測定データからわかります。
UCリアクターを複数台使用し、-80℃の冷媒を循環させる装置を作る場合は、循環ポンプにネオジウム(Nd)磁石を使用したものを採用します。そうする事で-80℃の冷媒循環装置は実現可能です。

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